Fender Vintage IIとFender Originalシリーズ -Precision Bass編-
最近Fender社が現行型であったAmerican Originalシリーズを一新して、
American Vintage IIシリーズとして発表したのが話題になりました。
しかし、ここ数年でこの手のニュースを見ていつも思うのが、
「結局新しいシリーズで何が変わったの?」ということ。
古いバージョンの詳細をチェックしようにも公式サイトは当然ながら更新されており、
手軽に確認することはできません。
ということで今回はプレシジョンベースモデルにおけるAmerican Vintage IIシリーズとAmerican Originalシリーズの違いについて調べてみました。
なお、古いバージョンのサイト情報については、Web Archiveを使って2022年1月時の情報を持ってきているので、取得時期によっては記載内容が異なる可能性があります。
ラインアップの違い
まずは取り扱っているモデルについてですが:
American Originalでは:
50's Precision Bass
60's Precision Bass
American Vintage IIでは:
1954 Precision Bass
1960 Precision Bass
となっています。なのでまず大きな違いとしては
- 50年代後半の「プレシジョンベース」がなくなった
- 新たに54年モデルの(オリジナル)プレシジョンベースモデルが追加された
- 年代ではなく特定の年のモデルに絞られた
といった差異がありますね。
60's Precision Bass VS 1960 Precision Bass
では個別のモデルについてはどうでしょうか。今回は直接的に比較可能な
60's Precision Bassと1960 Precision Bassを見てみたいと思います。
なお、旧シリーズにおける50's Precision Bassと1954 Precision Bassについては直接的な比較はできないので今回は割愛します。特に新しい1954年モデルの方については雑誌などでもしっかり取り扱われていると思うので、そちらを参照いただくのが良いかと思います。
説明文
公式の説明文については以下の通りです。
旧モデル:
1951年に発表されたプレシジョンベースは、60年代にはエレクトロニックベースの代名詞的製品としての地位を全米で確立していました。プレシジョンベースは多数のアルバムやステージで使用され、そのまぎれもないトーンはモダンミュージックの礎を築き上げました。
American Original ‘60s Precision Bassは、60年代のオリジナルプレシジョンベースのエレガントなシンプルさと画期的なサウンド、そしてスタイリングを踏襲しながら、モダンなプレイヤビリティをフィーチャーした楽器です。
本機に搭載されているPure Vintage ‘63 P Bassスプリットコイル・ピックアップは、エナメルコーティングされたコイルワイヤーからクロスカバー出力ワイヤー、ファイバーボビン、アルニコ5マグネットに至るまで、当時のスペックを忠実に再現しています。このピックアップから鳴らされるパンチのあるサウンドは、モダンミュージックを形作ったサウンドそのものです。
ベースのネック形状における世界標準と認識されている厚めの63年製プレシジョンベース・ネック形状は手にしっくりとフィットし、9.5インチRがモダンプレイヤーにも馴染み深いプレイヤビリティを提供します。ヴィンテージ・トールフレット、オリジナルモデルのボディラジアス、4サドル・ブリッジをはじめとするヴィンテージスタイル・ハードウェア、ヴィンテージスタイル・ハードケース、極上のトーンと絶妙な経年変化を見せるラッカーフィニッシュなど、細部にまで50年代モデルの代表的なスペックが反映されています。
American Original ‘60s Precision Bassは、20世紀のポップカルチャーサウンドを形作った60年代のプレシジョンベースのパフォーマンスとスタイリングを体験するのに最適なモデルです。
一方で新モデルは:
50年代後期から60年代初期は、Precision Bass®を象徴する多くの新機能が導入された転換期でした。1960年には、Precision BassのデザインはTelecaster®スタイルのデザイン要素から、Stratocaster®スタイルへとシフトし、ヘッドシェイプ、コンター加工、ピックガードマウントのエレクトロニクス、4サドルブリッジといった特徴を備えるようになりました。3-Color Sunburstに塗装され、4plyべっ甲柄ピックガードを備えた1960 Precision Bassは、普遍的な、洗練されたスタイリングを手に入れたのでした。
プレミアムなアルダーボディ、Pure Vintage ʻ60 Split-Coil P-Bassピックアップ、20本のヴィンテージトールフレットを配した7.25インチラジアスのスラブローズ指板の1960 "C"シェイプメイプルネックといった仕様は、1960年に生産されたオリジナルモデルのサウンドとフィーリングを見事に再現しています。
American Vintage IIは、フェンダーの礎を築いたギターとベースを忠実に復刻している、ヴィンテージフェンダーのトーンとフィーリングを愛するプレイヤーへ向けたシリーズです。音楽の歴史を作り上げてきたギターとベースを、現代の技術で蘇らせています。
うーん。。。よくわからない。とりあえず上記でも書いた通り、American Vintageはより特定の年のモデルをターゲットとして製造されているのだけは明白ですね。
カラーリング
さて、60's Precision Bassおよび1960 Precision Bassで提供されているカラーは以下の通り:
- 旧:サンバースト・レイクプラシッドブルー・サーフグリーン
- 新:サンバースト・ダフネブルー・ブラック
と、緑と黒が入れ替わりになっています。青系の色についても、旧モデルではメタリックだった塗装がマットでより淡い色に変更されています。
スペック
仕様についてはほとんど同じとなっているのですが違いとしては:
- 付属品のハードケースの色がBlack HardshellからVintage-Style Brown(Orange Interior)に
- ピックアップがPure Vintage '63 Split Single-Coil Precision Bass®からPure Vintage '60 Split-Coil Precision®に
- ネックシェイプが1963"C"から1960"C"に
- 指版がラウンドからスラブに(ローズウッドの場合)
- 指版rが9.5インチ(241mm)から7.25インチ(184.1mm)に
- ナット幅が1.73インチ(44mm)から1.70インチ(43.2mm)に
と主にネック回りが微妙に変わっています。ピックアップも一応新しくなっているようですね。
値段
続いては一番大事なお値段はというと
- 旧モデル(2022年1月時点):280170円
- 新モデル(2022年11月現在):313500円
...がっつりインフレ円安などの影響受けてますね(特に何もなくても値上げしてるとか言ってはいけない)
最後に
とまとめると大きくこのような違いになります。
当方は正直あまり歴史との整合性は気にしないのでAmerican Originalでも全然構わないのですが、仕様についてこだわりがある人はAmerican Vintage IIの方が良いのかもしれません。
といろいろ書いたところで実際に手を取って弾いてみるのが楽器を選ぶときには一番な気がしますがね。
ジャズベースの比較については別の記事で取り扱いたいと思います。
ではでは!
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